11月まとめ

宝塚雪組「ファントム」

 

分かっていた、(冬とは寒いものだくらいに)分かっていたことだけど、望海さんと真彩さんの歌声が素晴らしかった!聴いていると脳みそがとろけていくような感覚。麻薬ですね!

 

一幕はエリックとフォンテーヌ、二幕はエリックと父の物語になっていて、宝塚を観ている!というよりはグランドミュージカルを観ている気分になっていた。最後のフィナーレを観て、宝塚だったわ・・・って思い出す勢い。

 

特に銀橋でのエリックと父の会話は思わず涙が・・・いや、父がしたことあかんやろ!と内心思いつつ、エリックとの会話を聞いていると涙が出るんだよ。

 

全体的に台詞は、あまりに直接的で歌のクオリティーと比べると「いや・・・台詞がもう少し洗練されて欲しい!!!!」と思った。(役者さんの言い方ではなくて台詞そのもの)それによって、エリックの幼さや直情的すぎる感じはよく分かるんだけど。望海さんの幼くて、ちょっと狂気的な姿はすごくよかったんですけどね。(そろそろ劇の最初からカラット明るく!人生を楽観している姿も見たいです。)

 

それにしても1ヶ月同じクオリティーで提供されると考えると劇団の経営がオペラ座並みに苛烈だなあと。喉、体を大切にやりきっていただきたい。(運営側にはそんなことを考えずに観劇できる日程を考えていただきたい)

(特に真彩さんの声が「ひかりふる路」のときより少しハスキーめな気がして、初めてお声を聴いた時の透明感が少々なくなって(他の魅力は出てきたんだろうけど)酷使しすぎでは・・・と)

 

 

KERA・MAP「修道女たち」

 

白塗りの顔が印象的。はっとさせられる台詞と思わず笑ってしまう台詞が重層的に重なりあって、最初は戸惑うけど、どんどん作品世界に引き込まれる。神とは何か、何を信じて生きるのか、閉鎖的な環境で何かに身を任せることの心地良さとそこから生まれる葛藤、困難、いろんなことを考えさせられたけど、私の頭ではとうてい理解できなかった・・・理解できないけど、ワインを飲む展開がなぜか納得できていて(本当のラストはよくわからなかった)と不思議。

神を信じている、そして、神から(神なのか、他人なのか、自分なのかは定かではないけど)さらに試される。その試しを受けてもなお神を信じたから、彼女たちは魂の列車に乗ったのだろうか。

閉鎖的な環境での話と思っていたが、人間の世界って根源的に閉鎖されているなあ、人間として生きるしかないものね・・・と数日経って思った。

 

それにしても、ケラさんが描く女性はみなさん本当に魅力的。

特に、鈴木杏さんの「ニンニー!」という声がふと思い出される。そして犬山イヌコさんの押さえた芝居がとても、とても、よかった!

 

 

宝塚花組蘭陵王

 

新作はいいな。(エリザ、ファントムを観て、やっぱり再演される名作もいいけど、名作を生み出すためにも宝塚には新作主義であってほしい)

 1幕は散らかっているように思えて不安があったが、2幕になると脚本家の直接的で普遍的なメッセージがばんばん感じられて、思わず涙が出そうだった。脚本の荒っぽさとまとまりのなさを役者が力でねじ伏せていて、ねじ伏せたことで、そのメッセージがより際立ったものになっていた。ラストの展開は「さすが宝塚!」なのか、脚本家の方の好みによるものか不明ですが、最後の掛け合いが楽しかったのでもうなんでもいい。

 

ところどころ、おもしろすぎやろ!と吹き出しそうになる場面もあったけど、それ以上の情動が心に打ち寄せることがたびたびあったので気にならなかったかな?

 

そして、主演の二人がとてもよかった!凪名さん、音さんがダブル主演のようでありながら、音さんは凪名さんに寄り添うと一番美しく見えて、娘役さんだと納得。歌もとても聴きやすく、リプライズが多く盛り込まれていて、好みだった。